コアSSH(海外の理数教育重点校との連携)実施要項
主催
愛知県立時習館高等学校
*平成23年度文部科学省指定スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業
コアSSH(海外の理数教育重点校との連携)として実施
研究開発課題
「国際性と実践的コミュニケーション能力をあわせもつ科学技術エキスパートの育成~英国パブリックスクールとの交流を通して~」の研究開発
趣旨及び研究の概要
趣旨 |
英国パブリックスクールとの国際交流を通して、最先端の理科学研究を学ぶとともに、国際人としての資質を磨き、英語によるコミュニケーション能力を身につけさせる。 |
研究 の 概要 |
- 国際的な学術の場で活躍できる人物の育成
大学又は大学卒業後に、世界の科学技術をリードする大学や研究機関で学び活躍する人物を育成したい。
そのために高校生の時期に海外の先進的な高校や大学との交流を通して、英語活用能力を磨き国際性を育成することが大切である。
現在、時習館高校は英国のセント・ポールズ校と姉妹校提携を結んでおり、この関係を拠点に英国の先進的な高校と時習館高校及び愛知県内さらには東海地区のSSH指定校との、共同研究や英語での合同研究発表会を開催する。
- 研究活動の国際化及び深化
現在各校、各個人で行っている研究テーマをもとに、参加者を地球物理班、生化学班、生命科学班、数学班の大きく4グループに分け、英国連携校において同様な分野で研究活動している生徒(またはグループ)と電子メール等を利用し、意見交換を積極的に行う。
このことにより、自校の生徒の意見のみならず他校、他国の生徒の意見に触れることができ、現在の研究内容の深化や意欲の向上につながることが期待できる。
- 国際感覚を持つ教員の育成と資質向上
英国連携校と本研究に携わる理数系教員の交流を通して、両国の理数系教育活動の意見・情報交換の場とし、科学技術エキスパート育成のための視点を学ぶ機会とする。
海外の学校との連携を推し進める経験は、本研究に係わる多くの教員のスキルアップと資質向上につながり、現高校生のみならず、将来にわたる高校教育全体の向上につながることが期待できる。
- 研究成果の普及
成果発表会を開催する。
口頭発表は衛星回線で両国をつなぎ、両者が活動内容を報告することにより、研究成果を発信するとともに成果報告書を作成し、成果の普及に努める。
年度末には研究成果を英国で発刊されている理科教育研究報告会誌(Physics education他)に投稿し、広くその成果を英国及び日本の高校生に紹介する。
- 最先端の大学等施設訪問及び研究者との交流
ケンブリッジ大学やキャヴェンディッシュ研究所を訪問し、世界最先端の研究の一端に触れるとともに研究者の科学に対する姿勢を学ぶ。
また、ケンブリッジ大学のサイエンス・フェスティバルに参加し、研究発表を行い、研究者との交流を深める。
このような研究機関・施設の訪問に関しては、サイエンスコミュニケーターの協力を得て、より密度の高いものとなるようにする。
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連携対象となる学校と参加生徒数
- 時習館高校及び国内の連携校
東海地区のSSH指定校及び愛知県内の高等学校の生徒で、自然科学に対する興味・関心並びに能力が高く、また英語による日常会話やプレゼンテーションができる生徒で、本研究参加にふさわしい生徒。
参加者は1年から3年までの全学年を対象とするが、平成24年3月に実施予定の訪英については、1年、2年の参加生徒を対象とし、50名程度を選考する。
- 英国の連携校
セント・ポールズ校及びその他のパブリックスクール
※補足
時習館高校とセント・ポールズ校との交流は平成21年度から始まった。
この交流は両校の発展にとって、とても有意義であることから、両者の友好関係を確立するとともに将来にわたって交流を深めることに合意し、平成23年1月に姉妹校提携の協定書を交わした。
また、セント・ポールズ校のDr.Zetie(パブリックスクール「ザ・ナイン」の理科教員代表)を通じて、他のパブリックスクールと連携することが合意されている。
事業内容 ※<>内は実施予定時期
6月 |
オリエンテーション |
- 本研究の目的と内容の説明
- 班の編成と班別の研究テーマの設定及び研究計画の作成
- 講義:「イギリスの歴史・文化と科学技術との関わりについて(仮題)」
講師:大学教授等に依頼
※イギリスの歴史・文化について専門家の講義を受講することにより、英国で科学技術が発展した背景等を学ぶ。
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6月から 平成24年 3月 |
英国連携校とのインターネットによる情報交換
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セント・ポールズ校の生徒と電子メールやテレビ電話を使い、互いの研究内容等について情報交換を行い、訪英が充実したものになるよう準備の機会とする。
また、来日時並びに訪英時は互いの研究についての意見交換等を行い、研究内容がより深いものになるようにする。
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7月 または 8月 |
語学研修会 |
2日間にわたり英語のみによる生活を体験することにより、英語による日常的なコミュニケーションが円滑にできるようにする。
あわせて科学に関する英語論文等を教材として使用する講義を設定し、読解力と専門用語の理解を深める。
また、この体験を訪英までの英語学習の基盤作りとする。
講師:篠原久典氏(名古屋大学教授)
内容「国際会議での発表における質疑応答の極意」
研修指導者:英語科教員、理科教員、県立高校で指導している英語指導助手(AET)
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10月 |
英国連携校生徒との交流(英国連携校生徒が来日) |
セント・ポールズ校の生徒を受け入れ、授業や部活動への参加、ホームステイを通して、多くの生徒が交流を深める機会とするとともに、本事業の参加者においては、研究活動内容や研究成果等について情報交換を行う場とする。
また、セント・ポールズ校のDr.Zetieを講師としてお迎えし、英国の理科教育について講演をいただく。
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12月 |
あいち科学技術教育推進協議会発表会において研究成果を発表 |
研修を通して学んだことを発表する場とし、成果を全国に発信するとともに成果の普及を図る。
会場とセント・ポールズ校とを衛星通信映像伝送システムでつなぎ、両者双方向の研究発表及び質疑応答を行い、来場した高校生も交え、研究成果を共有する機会とする。
成果発表会による発表はすべて英語で行うこととし、効果的なプレゼンテーションができたかを検証する。
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平成24年 3月 |
現地研修(訪英) |
- セント・ポールズ校及び他のパブリックスクールの生徒との研究協議等
地球物理班、生化学班、生命科学班、数学班に分かれ、互いの研究活動内容や研究成果等について協議や情報交換を行う。
インターネットを通して情報交換した内容をもとに各自の英語力をフルに活用してコミュニケーションを図る。
- 合同研究発表会
セント・ポールズ校を会場に、日本及び英国の高校生による理科学に関する合同発表会を開催する。
- 大学・研究施設等との連携
ケンブリッジ大学(University of Cambridge) |
- サイエンス・フェスティバルへの参加
研究班ごとに研究内容を英語でプレゼンテーションする。
- 理学系研究室での実験・実習等
研究室の見学及び物理系、化学系、生命科学系等の研究者に講話と実験実習体験を依頼。
大学研究者や大学生との会話を通じてイギリスの科学教育の在り様や研究環境の状況を体感する。
このことにより、将来国際的な科学技術者として活躍するための素地つくりの第一歩とすることを目的とする。
- 図書館での研修
大学図書館のチーフライブラリアン(小山 騰氏:本校卒業生)に講師を依頼し、同大学の図書館の在り方、貴重な芸術作品の収集と保管方法や年代測定等の科学的手法の活用などを研修し、人類が残した文化遺産の重要性について理解を深める。
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キャヴェンディッシュ研究所(Cavendish Laboratory) |
研究所内の見学及び13ある研究部門のうち数部門の研究者に講話を依頼。
世界最先端の研究の一端を学ぶとともに、ノーベル賞受賞者を輩出してきた研究所の歴史と研究環境、また研究者の姿勢を体感することにより、将来国際的な科学技術者として活躍するために必要な素養を培うことを目的とする。
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ロンドン自然史博物館(Natural History Museum) |
- 生命ギャラリーにおける研修
地下にある"investigate" という区画で動物・植物・鉱物など多岐にわたる標本に実際に触れ、標本について顕微鏡・各種計測装置・データベースなどを駆使して各自で調べ、その標本についての知識と科学的方法論そのものを獲得することを体験する。
- 地球ギャラリーにおける研修
地球ラボ(Earth lab)のコーナーで、実際に様々な岩石鉱物を手に取り、用意されている岩石顕微鏡、データベースなどを使用し自ら情報を求め自分で考えて答えを出す過程を体験する。
- ダーウィンセンター
この施設は博物館の舞台裏までも展示とする事を目的とした公開標本収蔵庫である。
ここで毎日行われる講義を聴講し、博物館スタッフが行っている進行中の作業を見学するなど生物の標本作製過程等について学ぶ。
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大英博物館(The British Museum) |
博物館のスクール・チームに依頼し、主として科学技術に係る展示室を紹介・案内してもらう。
大英帝国時代の植民地から持ち込まれた各国の貴重な文化遺産を目前にすることで文化財保護の観点を学び、時代背景等を体感する機会とする。
また、班の研修テーマに沿って見学し、レポートを作成するとともに各班、個人が体感した内容を発表する場を設定し、学習内容を共有するよう努める。
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平成24年 3月 |
英国の理科教育研究誌「Physics education」等に投稿 |
年度末に研究成果を英国で発刊されている理科教育研究誌「Physics education」等に投稿し、広くその成果を英国及び日本の高校生に紹介する。 |
~ 平成24年 3月 |
成果報告書の作成 |
本研究について、参加者のレポートや関係者に対するアンケート等を実施することにより評価する。
成果報告書は英語でまとめることとし、次年度以降の国際連携事業の参考とする。
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参加希望生徒の募集について
募集 |
- 参加者の要件
①自然科学に対する興味・関心並びに能力が高いこと。
②現在、自然科学に関する研究を行っている、またはこれから行う計画があり、12月及び平成24年3月(訪英時)の発表会において英語による発表ができること。
③基礎的な英語によるコミュニケーションができること。
※注意事項
(1)1年から3年までの全学年を対象として募集するが、各校からの推薦は4名以内とする。
ただし、平成24年3月上旬に実施予定の現地研修(訪英)については、1年、2年生のみを対象とし、各校2名以内を9月までに選考・調整する。
(2)平成24年3月上旬に実施予定の現地研修(訪英)は、授業日を含むため所属長の承認が必要です。
- 申し込み
別紙様式1、2に記入の上、5月13日(金)必着で郵送。
(あわせて、別紙様式1につきましてはメールにて同日までに送信してください。)
○郵送先:愛知県立時習館高等学校 コアSSH担当者 宛て
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参加者の決定通知 |
5月23日(月)までに参加者を決定し、お知らせします。希望者多数の場合は、提出書類をもとに選考します。 |
旅費等
- 生徒の日本国内及び訪英のための旅費・渡航費・宿泊費(食費は除く)についてはSSH費用より支給します。
- 教員の日本国内における旅費等は各所属でご負担ください。ただし、訪英に係る渡航費・宿泊費(食費は除く)はSSH費用より支給します。
本件の問合せ先
愛知県立時習館高等学校